2008年6月23日月曜日

第9回写真ワークショップのお知らせ

今回は6月28日(土)にクィーンズにある美術館、PS1で行われているオラファー エリアソン展を観にいく予定です。デンマーク系アイスランド人であるエリアソンは自然現象とその関わりを想起させるような体感的な作品を数多く制作しており、観る人と作品の関係も作品の一部と述べています。写真ワークショップ6月のテーマである「ランドスケープ」とは一見関係のなさそうな展覧会ですが、霧や光を駆使しながらアーティストが創り出す室内空間はランドスケープというコンセプトそのものを考えさせる興味深い作品だと思います。写真、彫刻、インスタレーション等様々な媒体の作品がご覧になれる今回の展覧会はアメリカ初のエリアソンの大規模な個展となります。6月30日をもって終了してしまうこの展覧会、普段クィーンズには縁のない方もこのチャンスに足を延ばしてみてはいかがでしょうか?1971年に設立されたPS1はアメリカで最も古い現代アート専門の美術館の一つです。元々は学校だった建物を美術館に転用したユニークな建物も一見の価値あり、だと思います。

ツアーは約1時間弱を予定しており、その後希望者の皆さんで夕飯をご一緒する予定です(レストランは未定)。恐らく大丈夫だとは思いますが、美術館と来館者への配慮から希望者が10名を超えた場合は誠に勝手ながらご遠慮頂く事もあるかと思いますがご了承ください。ちなみにリュックや大きいバッグは預ける必要がありますので、ご面倒な方は小さめの手提げなどをお持ちになると良いかと思います。

詳細は下記をご覧ください。

日時: 6月28日(土)16時45分

集合場所: PS1のロビー(フロントデスク前)

PS1
22-25 Jackson Ave at the intersection of 46th Ave
Long Island City, 11101
7番線45th Rd./Courthouse Square駅下車徒歩2分
電話:718-784-2084

美術館のウェブサイトはこちらをご覧ください。
http://www.ps1.org/ps1_site/component/option,com_frontpage/Itemid,1/
 
なお、入場料として大人$5学生$2がかかりますので、あらかじめご了承ください。MoMAメンバー並びにMoMAで30日以内に購入されたチケットの半券をお持ちの方は無料です。

正確な人数を把握する為に、お手数ですが下記に出席のご記入をお願いいたします。(ツアー後の食事会参加希望の方はその旨ご記入頂けると助かります。)
http://zephyr.or.tp/cgi-bin/ketsu/ketsu.cgi?id=94483a75d5ea

ワークショップに関するお問い合わせは手島(teshima77アットyahoo.co.jp)か酒井(sakaitaku1211アットyahoo.co.jp)までお願いします。

皆様にお会いできるのを楽しみにしています!

2008年6月16日月曜日

第8回写真ワークショップ報告

6月14日に第8回写真ワークショップが行われました。
今回のお題は「ランドスケープ」、その定義は様々ですがここでは単純に目の前に広がる景色という広い意味を採用しました。最初の30分を充てたレクチャーは「点在する風景: ランドスケープ写真の多様性」と題して、ランドスケープ写真のバラエティを大まかな時系列にお話しました。

簡単なランドスケープ写真の歴史をおさらいしたらここからが本番です。
皆さんに持ち寄っていただいた写真について皆さんで意見、感想、質問を交わします。今回は横澤典さんを始めとしてプロの写真家の方々も多く参加してくださったこともあり、かなり白熱したクリティークが繰り広げられました。そして作品自体の批評に加えて作品のプレゼンテーションの仕方についての意見交換も行われました。自分の作品を全く知らない人にどう説明するかというのは写真家の方にとって大きな課題だと思いますが、写真とは全く別のお仕事をされている参加者の方々のご意見や質問が大きなヒントになることがあります。例えば東京の夕暮れ時を捉えた写真を撮影されている写真家の方は、作品の説明としてご自分と写真の関わりについてお話してくださいました。それに対し、皆さんからは「どこで撮ったのか」「なぜ東京を撮り続けるのか」といった具体的な質問が挙がりました。写真評論家の方はそうしたやり取りを聞きながら、「作品を見る人にとっては作品の核に到達する為にいくつかのステップを踏まなければならないので具体的な情報をもっと提示した方が良い」とアドバイスされていました。一方で南国のビーチを中心にした写真を持ってきてくださった方は、ご自分で撮った写真とウェブから拾った写真を交えて音楽をつけてスライドショーで見せるというユニークな方法で発表されていました。他人と自分の写真を交えて保存・発表するという方法はプロの写真家の方々にはとても新鮮に映ったようです。

皆さんが積極的に質問や意見を交わしてくださったことでとても活気溢れるワークショップになったと思います。プロアマの垣根を越えてのディスカッションが皆さんにとって得るところの大きいものになっていたら幸いです。雨の中を参加して頂いた皆さん、本当にありがとうございました!今回残念ながら御参加いただけなかった方も次回の美術館ガイドツアー(予定)でお会いできることを楽しみにしています。

2008年6月9日月曜日

【6月14日(土)】第8回写真ワークショップのお知らせ

皆様

第8回写真ワークショップのお知らせです!
そろそろ夏も近づいて外を歩く機会も増えてきたのではないでしょうか。今回はそんな季節に合わせて「ランドスケープ」がお題です。今回も最初の20分を簡単なランドスケープ写真の歴史のレクチャーにあて、その後皆さんに持ち寄って頂いた写真について話し合って行きたいと思います。簡単な写真史を学ぶと共に、写真を個人的に楽しむ眼をこのワークショップで養って頂けたら幸いです。

「ランドスケープ」と言ってもここではいわゆる自然の風景に囚われずに、目に見える景色という大きいくくりで取り扱ってみたいと思います。人工的に作られたセントラルパークの景観、東京タワーから見下ろすビルの群れなど、広がりをもった外界の景色はどこに居ても身近なトピックなのではないでしょうか。より充実したディスカッションにする為に、ご自身の経験や思い出と深く結びついたランドスケープや、特に興味をそそられるランドスケープ写真をお持ち頂くと良いのではないかと思います。どうしてその風景、その写真が自分の興味をひくのかを皆で考えていきましょう。ご自身で撮られた写真でも、雑誌の切り抜きや写真集でも結構です。フラッシュドライブをお持ち頂いても構いません。

今回もNYでご活躍中の写真家、横澤典さん(http://tsukasayokozawa.com/)に御参加頂く予定です。ランドスケープを主題にした作品を制作されている横澤さんと一緒に、ランドスケープ写真の様々な見方やあり方を探っていきましょう!

ワークショップの詳細は以下をご覧ください。

日程: 6月14日(土)
時間: 17時半~19時頃 (17時半よりレクチャーを始めますので、なるべく5分前にお集まりください。)
場所:酒井のアパートの会議室(500 West 56th st, at 10th ave)アパートのロビー集合。
お願い:ランドスケープの写真をお持ちください。プリントアウトしたものでもフラッシュドライブに保存した画像でも構いません。

ご出席される方はこちら(http://zephyr.or.tp/cgi-bin/ketsu/ketsu.cgi?id=4e8f11b4d3b8)に登録をお願いします。

ワークショップのお問い合わせは手島(teshima77アットyahoo.co.jp)か酒井(sakaitaku1211アットyahoo.co.jp)までお願いします。

皆様にお会いできることを楽しみにしています!

2008年6月5日木曜日

5月31日第7回写真ワークショップ報告

5月31日(土)に写真ワークショップが行われました。
今回はInternational Center of Photographyという写真専門の美術館に皆さんと足を運びました。今行われているのはHeavy Light: Recent Photography and Video from Japanという現代日本人写真家13人のグループ展です。「日本」が写真ワークショップ5月のテーマということで、この展覧会で日本の写真の今を垣間見ようというのが狙いです。今回はNYでご活躍中のプロの写真家、棚井文雄さんに御参加頂きました。

写真ワークショップで美術館ツアーをしたのは今回が初めてだったのですが、以下の点を最初に説明させて頂きました。
1. 私の説明はあくまでも展覧会キュレーターの狙いとそれに少しの自分の意見を加えたものなのでそれが必ずしも見方の「正解」ではないということ。
2. ゆえに、皆さんの違う解釈や意見、質問や発言があれば何でも大歓迎!ということ。
以上のことを踏まえて、対話を交えて作品の理解を深めていくというツアーを目指しました。

ではそもそも日本の写真の今とは何か?ということなのですが、それはHeavy Lightというタイトルに要約されているように思います。Heavy(重い)、Light(軽い)という二つの相反する言葉の合わさっているこの言葉は同時に「重い光」という意味の成さない造語でもあります。このように曖昧かつとらえどころのない写真が日本現代写真の特徴ではないかということをキュレーター達は提案しています。例えば楢橋朝子さんのHalf Awake and Half Asleep in the Waterは泳げない彼女が海の中から水中と陸地を撮った作品です。水の中と陸地という二つの世界を見せつつもどちらに焦点が定まる訳でもなく不安定に揺れ動く彼女の視線は、見ている者に自然と戯れることの喜びと同時に恐怖の念を抱かせるような気がします。

13人の写真家の中でも特に皆さんが長い間足を止めていたのが、吉永マサユキさんの「ゴスロリ」と「族」でした。二つともこの展覧会ではテレビスクリーンに何十枚もの画像を映していく手法をとった作品です。その名の通りゴスロリ調の洋服に身を包む若者と暴走族の若者を捉えたこの作品は吉永さんならでは創り得たものかもしれません。暴力団の父親を持ち、そのことからいじめを受けた吉永さんはご自身も服役を経験したりテキ屋等の仕事を転々とした異色の写真家です。それゆえに日本社会の「はみ出し者」、「ならず者」を捉えるその目は驚くほど対等で、被写体からの絶大な信頼がそこに垣間見れます。

皆さんとバラエティに富んだ現代日本の写真を楽しんだ後はタイ料理レストランでお食事をご一緒しました。そこでも棚井さんに写真家から観たHeavy Light展についてなど実りの多いお話を伺うことができました。皆さんからは「解説が主観的な視点を交えたものだったから、自分も作品を見る時に自分なりの解釈をしていいんだと分かった」、「あれから他の友達と展覧会についての話でまた盛り上がった」といったお声を頂くことができました。

今回も参加者の皆様のお陰で充実したワークショップになりました。この場を借りて厚く御礼を申し上げます。次回は6月14日(土)を予定しています。また追って詳しいお知らせをさせて頂きますので、今回御参加いただけなかった方も次回是非お会いしましょう!