2008年7月16日水曜日

第9回写真ワークショップ報告(6月28日)

今回は6月のテーマであるランドスケープに合わせて、PS1で行われたオラファー エリアソン展に皆さんと足を運びました。

元々学校だった建物を美術館に転用したPS1はユニークな展示スペースを持ち、常に2つ以上の企画展を同時並行して行っています。オラファー エリアソン展はMoMAで同時開催され、それに合わせてダウンタウン4箇所で人口の滝を設置した The New York City Waterfallsもお披露目されました(10月まで公開予定)。

エリアソンはデンマーク生まれアイスランド人で、デンマークでアートの教育をうけ、今はベルリンを拠点に活動しているアーティストです。主に自然界の要素、例えば霧、光、水などを使って観る人の知覚、感覚に訴える作品を多く創っています。

今回の目玉作品であるTake Your Time (2008)では天井に設置してある巨大なミラーがゆっくりと回転していくというもの。他の来館者と一緒に私達もその下に寝転び不安定に変化する空間を楽しみました。一刻一刻変化する作品とそれに関わる私達の知覚、感覚の変化を楽しんで欲しいというエリアソンの作品には一定の解釈は当てはまりません。一方で彼の写真作品はランドスケープが主題です。アイスランドは海嶺や間欠泉などの珍しい自然現象に恵まれた土地ということで、エリアソンは写真でアイスランドの自然のバラエティを記録しています。氷河や洞窟など同じモチーフを撮影しグリッド型に並べた作品は一見すると無味乾燥なデータの集積のように見えますが、カラーで撮られているその写真はよく見ると微妙な表情の違いを露呈しています。祖国であるアイスランドの土地に対する彼の思いが感じられる作品だと思います。参加者の皆さんもアイスランドの自然の豊かさを目の当たりにして驚きや感動を感じていらっしゃったようです。

展覧会を通して言えるのは、エリアソンが作品を通して試みていることは我々が普段当たり前と思っている空間、時間、自然現象を問い直すことだと思います。そのために我々の感覚や知覚を攪拌するような作品を数々生み出しているのだと思います。こうした作品を観ることで、水の流れや草の生え方等今まで当たり前だと思っていたことが新鮮に見え、ランドスケープ写真を見たり撮る時にも今までに気付かなかったような発見ができるかもしれません。

今回のツアーでは作品を体感できて楽しかったという皆さんの声を頂きました。御参加頂いた皆さん、本当にありがとうござました!次回は7月12日(土)、「旅」をテーマにレクチャーとディスカッションのワークショップを行う予定です。今回御参加頂けなかった方々も次回お会いできることを楽しみにしています。

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